国内プロ選手に学ぶ「ペダリング」のトレンド

ペダリング・ポジション

✔ペダリングについてサイスポさんで語らせてもらいました。
✔ペダリングのトレンドまとめ。
✔これからも日進月歩で変わっていくんだろうな。

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先日、取材を受けた。

「ポジションとペダリングについて、大前選手に話を聞きたい」

サイクルスポーツさんからだった。

正直、ペダリングやポジションの正解なんて、僕もわからない。

競技を始めてからというもの、ほとんどの期間、指導者に教わることなく、我流で試行錯誤を繰り返してきた。

今でこそ、メニューはコーチに見てもらうようになったが、ペダリングテクニックなどは旧態依然、我流のままだ。

だけど、その試行錯誤の結果、僕が今どんなフィロソフィーをもってペダルを回しているのか、そのあたりは精一杯伝えさせてもらった。

そしてその雑誌が発刊になり、出来上がったものを送っていただいたので読んだのだが、これが非常に面白かった。

「ポジション見直しから始めるペダリング根本改革」と銘打たれたコーナー。

僕以外にリオモ才田選手、チームメイトの伊藤雅和選手、ブリヂストン橋本選手、入部選手に小石選手など、僕が恐縮してしまうほど錚々たるメンバーからペダリングやポジションに関する理論を聞いて、まとめられていたので所感をまとめておく。

結論は人それぞれ、条件や目的によって異なる

ワールドツアーの第一線で戦う選手であっても、ポジションは千差万別。

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アダム・イェーツ選手はかなり前乗り。

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アラフィリップ選手は教科書的に真ん中に座る選手。

この2枚だけでも「ペダリングもポジションも、人それぞれ。」というには十分だ。

ペダリングやポジションは、選手によっても違うし、レースのコースプロフィール、季節、気温、体調など、厳密さを求めていけば、いくらでも最適解は変わってくるもの。

そのなかで、プロであっても、一つのレースの中でサドル高やハンドル幅を変えながら走るのは現実的ではないので、「あらゆる状況でも何とか自転車を速く進ませられる及第点たる妥協点を見つけましょう」というのが、フィッティングなんだと思う。

だから、これから話すことは、「いついかなる時にも当てはまる教科書」ではないのでその点ご了承の上読んでください。

ペダリングのトレンド①: 股関節を意識

サイスポの記事の中で、リオモのフィッティングについて、骨盤を安定させながら、股関節の動きを最大化。そして足関節からペダルへ伝わる力のロスを減らすことが、ポジションの最適解、といったニュアンスで書かれていた。

ペダリング中に足関節を動かすことを「アンクリング」と言ったりするけど、これが良くないことは橋本選手も言っていた。

じゃあ、膝関節はどうかというと、膝の曲げ伸ばしを極端に意識するのも良くない。これは僕の意見だけど、ペダリングは、「脚の上下運動をクランクを使って円運動に変換する行為」であって、人間の脚はそんなに器用に円運動をするスキルを持ち合わせていない。

だから、股関節から下は不必要に力を入れず、股関節の伸展・屈曲の結果自然とついてくる感じをイメージするのが良いのでは。

ペダリングのトレンド②: 尻で踏む!

これは僕と、入部選手と、小石選手が言っていたこと。

僕は練習後に、「臀筋が疲れたな」と感じたら、その日のペダリングは割と良かったんだと判断している。

人間は特定の筋群を意識して筋肉を使えるほど器用ではないので、ちゃんと「理想のイメージ」をもって動作をしていたら、その結果その辺の筋肉がつかれた、という感覚のすり合わせが大事だと思っている。

股関節を動かす、というイメージを持ってペダリングした結果、股関節の屈曲に関わる単関節筋である腸腰筋と、股関節・膝関節を同時に伸展させられる大臀筋に疲労感が残れば、そのペダリングはイメージ通りできていると言って良いんじゃないだろうか。

ペダリングのトレンド③: 体重を使う

僕がやっているもう一つのサイトがある。

そこで以前、「体重を使ったペダリング」について、乏しい物理の知識を使って検証しようとしたら、自転車界の頭が良い人たちに「科学とは何たるかを学べ」とお叱りをいただいた。

なので、ペダリングで「体重を使う」というのは科学的な話でなく、あくまで「イメージ」の話だと今一度宣言しておこう。(冷や汗

入部選手のイメージとしては、

重心を後ろにして前に踏み出すより、前に座って体重を使って下に踏み下ろす

感じだという。

僕も完全同意で、無駄なくペダリングするためには、3時のペダル位置の時に身体の重心がペダルの真上に来るように、1,2時くらいから重心移動で準備しておく意識を持っている。

実際には、どうやってこれを再現するかというと、バランスボードに片脚で乗って、前後左右方向を不安定にした状態で自分の身体の重心を自由自在にコントロールする感覚を養うトレーニングをしている。

僕が今使っているのはこれ。

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ペダリングやポジションの理論は過去10,20年の間で大きく変わったし、きっとこれからも日進月歩で変わっていくんだろうなあ。

そして僕の理論もこれから変わっていくと思う。

答えが出ない。だから面白い。

学問の真骨頂だ!

取材いただいたサイクルスポーツさん、ありがとうございました。

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