プロロードレーサーの時間の使い方

学生だった頃は、練習に充てる時間は平日でせいぜい2時間、休日にロングで4,5時間乗って、週間の練習時間は大体15,6時間だったように思う。

プロになってからはパーソナルコーチに練習メニューを組んでもらっている。5日間のステージレースや、レースタイム5時間を超すワンデーレースを走るためには、学生の頃よりも大きなフィットネス(パワートレーニング用語でいう長期トレーニング負荷。体力の指標)が必要になるので、先週は週間で21時間を走りこんだ。

もっと言うと、長いオフシーズンのトレーニング期間は、1か月、1週間という単位で設定されており、3週間トレーニングして1週が回復週、1週間の中では、3日練習して1日休み、2日練習して1日休みというサイクルで動いている。先週は3週間のトレーニングの3週目だったので、疲労もかなりたまっていたなかで21時間を乗り込んだ。

自転車に乗っていた以外の時間は、基本的にはしかばねだった。朝起きるのも激しく苦痛で、普段は前日の夜に仕込む翌朝の味噌汁も用意せぬまま寝るようになり、家の掃除はだるくてやらず、洗濯物はいやいやなんとかやっていた状況で、練習から帰るなりプロテインを丸呑みしてシャワーを浴びてベッドに倒れこむような生活だった。パワートレーニングの疲労を示す数字は、2月に出場したツールドランカウイの最終日よりも高かったくらいだ。先週ブログの更新が止まっていたのもそういう理由である。

これほどまでに追い込む練習というのは、プロ選手をしているからできることだなあとしみじみ感じる。大学生時代は日中大学に通い、バイトをした後に夜練をしていたわけだが、今のレベルの追い込み方で大学に通ったり、バイトで頭を働かせたりするのは困難だったに違いない。しかし、やはりコンチネンタルチームが出場するアジアの2クラスのステージレースを走るためのフィットネスを確保するためにはこのような練習も必要になるから、このような練習メニューが組まれるのである。

昨年は、一昨年に大学に通いながら、大学を長期間休んで世界選手権に出場するなどしたつけで、一昨年から昨年にかけてのオフシーズンに必要なベーストレーニングができないままシーズンに突入してしまった。そのためにコンディションが乱高下してしまい、自分にとっても苦しいシーズンを過ごしてしまった。今年はそれと真逆で、きちんとスケジュールされてきっちりとベースを積み上げることができている。あとはレースでこの仕上がりを発揮するだけの状態だ。
自転車で強くなるために、フルタイムでプロをやるのは時間が余りすぎるという論調の意見を聞くことがあるが、僕はそうは思わない。しかし、この生活で結果を出せなければ、やはりそういわれても仕方ないと思う。

パワートレーニングの正当性とフルタイムのプロ選手の存在価値を否定しないために、今年来るレースでは大きな結果を自身も期待している。

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