レースがない期間のモチベーションの保ち方

思考
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コロナウイルスの影響ですべてのUCIレースがキャンセルになって3か月がたった。幸い、所属する愛三工業レーシングでは昨年の12月、1月、2月とレースを走って、他チームが2020のシーズンインにしているレースで2019シーズンを締めくくったので、他チームに比べてオフシーズンが長すぎてダレる、といった感じにはなっていないように思う。

それでも、通常11月のツールド沖縄でシーズンを終えるとして、2月か3月のアジアツアーでシーズンインをすると考えれば、2月にシーズンを終えて8月にシーズンインするまでの半年間のオフというのは、異例の長さであることに変わりはない。

SNSを見ていると、レースがない期間のモチベーションの保ち方が難しい、という意見は、サイクリストの中でもプロ選手に多くみられるな、という印象を受ける。アマチュアのサイクリストは、どちらかというと「レースがあってもなくても、自転車に乗ることが楽しいからモチベーションには影響しない」というたぐいの意見を多く持っていると思う。

この仮定がただしいとして、これはスポーツ心理においては、モチベーションの持ち方に起因するものだと考える。スポーツのモチベーションには大きく分けて2つあり、外発的モチベーションと、内発的モチベーションと言われている。前者は、レースに勝って賞金が欲しいとか、名声を得たいとか、ステップアップがしたいといったもの、後者は、単純に自転車に乗るのが楽しいとか、景色を見るのが好き、といったものだ。外出できずにモチベーションを失う人の多くは、外発的モチベーション優位で練習をしていると思う。

僕はどちらのタイプかというと、まぎれもなく後者で、内発的モチベーションで自転車に乗っている。しかも、その内容が特殊で、「何を地道に積み上げたら強くなれるのか知りたい、そしてそれを将来的に若い選手に伝えていきたい」というモチベーションで自転車に乗っている。

もちろん、きついメニューをこなすのは嫌だ。レースがいつあるかもわからないのに、心拍が180を超えているのを見るたび、この練習、今やる意味あるのかな、などと考えたりする。でも、自転車にのってお金をもらっている以上、いつレースが来ても大丈夫なコンディションを今のうちから作っておかないといけないし、コーチが指定したメニューをこなさないと、コーチも後のメニューの組み方に困るし、自分も罪悪感に駆られる。だから、オフシーズンでもきついメニューをこなしているのは、プロ選手であるからこその責務と思っている部分もある。

しかしそれ以上に大きいのは、同じ心拍数、同じパワーでも、日々練習を積み上げていくごとに主観的強度が落ちていく(楽に感じるようになる)のが面白いということだ。2月のランカウイが終わってがっつり休んで再び自転車に乗り始めたとき、最初にやった20分走では内臓が全部飛び出るかと思ったものだ。それが今では、もちろんきついのだが、体のどこか一か所に負荷が集まるのではなく、全身がこの強度に適応して、違和感なく追い込めている感じがする。
僕が昨年やったメニューで1番嫌いだった、1分全力で突っ込んで1分FTPで巡行するインターバルを10回、というメニューがあるのだが、今年もレースの見込みが出てきて、先日今年に入って初めて同じメニューをやった。驚くことに、今年初のメニューだったにも関わらず、去年よりも高いパワーで、主観的強度も去年より低かったのだ。おそらく、去年はシーズン序盤にオーバートレーニングに陥り、積み上げたベースを水の泡にしてしまったり、変則的なレーススケジュールで計画立ったトレーニングができていなかったから、やけにきつく感じたのだと思う。

あとは、今年の短かったオフシーズンで、オフトレーニングに自転車とは違う運動を数種試したのだが、そのうちの一つをやった翌日のダンシングのフィーリングがとてもよくて、部屋の中のジムスペースのトレーニング機材を新調したなんてこともあった。実際に、昨年までの不調で落ち込んでいた20分のパワーが20ワットくらい向上して、生涯のベストに近いところまで来ているのも面白かった。「体幹の使い方」に新たな知見が加わった気がしている。このことについては引退するときか、僕がノウハウを伝えることで生活できるようになったらお伝えしたいと思う。

こうした達成感を日々の練習で感じることができるのも、ひとえにパワーメーターのおかげだと思う。クランク測定式のパワーメーターが温度変化に弱いとか、正確でないとかいろいろ言われるが、自分が日々使っている範囲では、誤差は感じない。絶対的指標にはならなくても、相対的指標には十分なっていると感じている。

身体は、見た目は同じでも常に変化しているから、調子が良いと感じていても、それに明確な理由付けがない場合、長くは続かない。日々身体の使い方を意識して、練習でフィードバックを得る。ポジションを変えるなんてのは身体の使い方を変化させることに直結するだろう。

半年のオフシーズンとは長いようで、24週間。1か月に1週間easy weekで、追い込みの時も週2でオフを取るとすると、追い込みは全部で90日。それぞれでターゲットの時間帯も違ってくるから、各ゾーンを徹底的に鍛えることができるのは、それぞれ累計で2週間くらいしかないことになる。

オフシーズンだからこそいろんなことを試して、一皮むけて2020シーズンに挑みたい。

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