そろそろ「勝てる力はある」とか「惜しくもチャンスを逃した」とかは言っていられなくなってきた。
「勝ち切るだけの力がない」と考えないといけない広島ロードレースday1のレポートをお届けする。
コース: 広島森林中央公園健脚コース
距離: 12.3km x 12周 143km
メンバー: 伊藤選手、住吉選手、岡本選手、草場選手、僕、中川選手、當原選手、貝原選手
事前の見立て
約1か月振りのレースということもあり、展開は全く予想がつかなかった。
それに加えてマトリックスのマンセボ選手の帰還、小林選手の電撃加入、シマノレーシングの今季初参戦も、レース展開の予想を困難にさせた。
いずれにせよ、前回の西日本ロードクラシックday2のように後手を踏んで先頭を牽かざるを得なくなると完全に勝機を失ってしまう。
そのため、有力チームが乗る大きな逃げができる場合はうちも複数人入れる、総合上位陣が最初から動くような場合は僕が対処するという作戦でスタート。
前回の反省を生かし、チームメイトはスタートの20分も前からスタートラインに並んで、序盤のアタック合戦に反応できるように備えてくれた。
僕は総合ランキングが一桁なので、直前までチームピットでスタンバイ。これは本当にありがたい。
そうして、今年のこれまでのレースで最長となる143kmのレースがスタート。
序盤の展開
今回はチームメイトも全員集団前方におり、アタック合戦にも落ち着いて対処。
マトリックス小森選手に、シマノ風間選手、ヒンカピーリオモ門田選手がブリッジする形で3人の逃げができた。
愛三としてはこの逃げは危険ではないと判断し、集団にステイ。
集団では宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼンがコントロール。中盤まで落ち着いた展開が続いた。
ただし、集団内の位置取りは、チームごとにトレインを組んでまとまって走っているのに、他チームの単騎の選手が割り込んできたり、競る必要のないところで競ったりと、そこそこストレスフル。
そこで中盤に差し掛かる段階で、中川選手に牽引に加わってもらい、さらに集団の前方に固まって位置取りをすることにした。
中盤の展開
逃げとの差が急速に詰まってきた6周目、逃げをキャッチしたと同時にレースは活性化。
このアタック合戦から、キナン新城選手、弱虫ペダル織田選手、チーム右京畑中選手、エンシェア阿曽選手が先行。
この逃げも本当なら一人入れられれば有利だったのかもしれないが、うちからは送ることができず。僕は総合上位陣が動いていないので静観した。
しかし、ここで集団が今までのレースとは違った雰囲気になった。
マトリックスが先頭に立ち、そこそこ速いペースで集団をコントロールし始めたのだ。
今までのレースでは、こういう展開になると牽制しあったり、各チーム数人ずつメンバーを出して協調するための交渉が行われたりと、ペースが落ち着くことが多かったのだが、マトリックスが絶対的な自信のもとに自ら主導権を握ったように見えた。
そうして7周目から本格的にペースアップ。特に3段坂でマンセボ選手が満を持してペースを上げると、集団は一気に20人前後まで絞られた。ここにうちからは僕と伊藤選手が残った。
終盤の展開
7周目のペースアップには問題なく対処できたのだが、この後脚に嫌な感触を覚えた。
僕は少し肌寒いくらいの気温のレースで高強度で踏むと脚を攣りやすい特徴があるのだが、例にもれず脚がぴくつき始めた。
こうなっては終盤の勝負がかかる展開についていけないので、できるだけ省エネで走るように切り替え、補給を徹底的に摂取した。
その結果、本格的に攣ることはなくゴールまでこらえることはできたのだが、結局勝負がかかるタイミングでは筋肉の問題で反応することができなかった。ここが反省点。
9周目に入ると、マトリックスマンセボ選手と、キナントマ選手がさらにペースアップを開始。お互いにマークしあっているようで、後ろに選手がついてくるかどうかなんてお構いなしに、2人のレースを展開しているような感じ。
それに食らいついていくと、集団がさらに割れて10人程度になっている。
一度二人のドンパチが終わった不意をついて、ブリッツェン増田選手と、マトリックスキンテロ選手がアタック。
ここが勝負どころとなったのだが、もはやきつすぎて覚えているようないないような。ゴール時に3位だと思ってゴールした後、増田選手とキンテロ選手が前にいるのを見て、「あ、そういえばこの2人行ってたな…」と思い出す程度。
本当にきつかったんだと思う。
その後も食らいついていったが、最終周の3段坂でトマ選手とマンセボ選手にあえなくちぎられ、その後ろのブリッツェン阿部選手、ブリヂストン徳田選手、伊藤選手の3人のグループとも若干のギャップができた状態で山頂を超えた。
そして必死の追走で前のパックに追い付いた後、5位集団のスプリントで先頭ゴールし5位となった。
悪かった点
伊藤選手もレースレポートで言っていたが、「増田選手とキンテロ選手が前に行っている」ことに気づく余裕すらなかった。
3位集団のつもりの立ち回りをしたことで5,8位になってしまったが、伊藤選手もスプリントしていれば5,6位を射止められたかもしれない。
いずれにしても、どんなにきつくてもレースの展開を把握すらできないというのは論外。チームで戦うプロを名乗れないレベルの失敗だった。
良かった点
毎回サバイバルな展開になる広島のコースで、安定して一桁順位を取ることができている。
ペースが上がったときに絞られた集団に残る顔ぶれももう毎度おなじみになってきたが、その中でも今回は脚を残せている感触があり、その点は自信につながっている。今後アジアツアーが再開するときも、この自信はプラスに働くだろう。
以上!