【敢闘賞!】2人で逃げた大分いこいのみちクリテリウムのレースレポート

レースレポート

先週の広島ロードレースのディフェンシブな走りを受けて、チームの西谷コーチと話した。

「年間ランキングでそれだけ上位にいると、そういう欲も出てきてしまうのもわかるけど… あくまでチームが求めているのは優勝。」

知らず知らずに芽生えた、「年間ランキングを守るために、無茶はしたくない」という感情が、僕に積極的な走りをしないようにブレーキをかけていたことに気づかされた。

逃げることが必ずしも攻撃になるとは限らないけれど、少なくともこのクリテリウムのコースにおいては、逃げても自己制御次第ではゴールに絡めるだろう。

そういう読みで、逃げに乗ることを決めた。

【コース】大分駅前 クリテリウム特設コース

【距離】1周1km x 45周 45km

【メンバー】伊藤選手、住吉選手、岡本選手、草場選手、僕、中川選手、當原選手、貝原選手

今回もお写真は全て三井至カメラマン。担当チームの合間を縫って撮影していただき、本当に頭が上がらない。

入念にウォーミングアップして臨む

会場に到着してトイレに向かうときに、自転車にまたがってひと踏み目で感じた。

「今日は調子が良い。」

じつは僕の調子というのは、「サドルにきちんと座れるか」で決まることが多い。

練習量が多いと、サドルに座っている時間が長いので、股ズレで皮膚が炎症していたり、できものができていたりすることがある。

自転車に最初に乗った時に、そういった股のトラブルなく、「ここで座る!」という位置がしっくりくると、その日一日調子よく踏めることが多い(笑)

もちろん、筋肉のコンディションもすこぶる良かったが。

逃げに乗るつもりだったので、30分かけてじっくりとウォーミングアップ。総合ランキングがトップ10なのでこの日も先頭からスタートできる。

Jプロツアーは最初の展開が命、というのが各チーム共通の見解になってきたようで、この日に至っては、コース試走の時間が11:45までだったのに、11:40には選手たちが自主的に引き上げてスタンバイラインに整列し始める人気っぷり。

こういう状況では最前列スタートが保証されていることが本当に有利に働く。

そんなこんなでスタート。

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スタート直後からアタックの応酬。そして逃げに乗る!

このコースはサバイバルな集団スプリントになることがほとんどだが、2019年のように、まれに逃げきりでの勝負もあり得る。

どちらにしても、先頭で走っているとインターバルがかからない分、ラクに走れる。

どのチームからも、「自分は積極的に行きたくはないけれど、大きな逃げができるなら乗せておきたい」という意図を感じる。

アタックは散発するけれど、集団が一つになったら、マトリックス以外は先頭に出てこない。

そんなこんなで3周目にアベタカ選手が完全に決めに行くアタック。

アベタカ選手が逃げに行くときのアタックは、本当に速いし、迷いがない。後ろを振り返らず、1分ほど全開で踏んで、そこで初めて後ろについてきた選手を確認する。かっこいい。

アベタカさんの背中から今回もそういう雰囲気を感じ取ったので、「これは決まる!」と思い、飛び乗る。

総合ランキングを意識しているキナンやマトリックスにとっては、僕が反応したのは意外だったと思う。

しかし、集団をまとめてキンテロ選手でスプリントしたいマトリックス、それを利用して終盤にアタックを仕掛けたいキナンにとっては利害が一致していたようで、2人をもって逃げが容認された。

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完全にコントロールされたペースで逃げ続ける

アベタカ選手は逃げのスペシャリストで、タイムトライアルも強い。

そのため、時間は対等に牽いていたけれど、周回タイムはアベタカ選手が牽いた時の方が1,2秒早い。

僕自身には、「脚を残しながら逃げて、ペースの上がり切った集団に吸収されてから先頭付近で粘って岡本選手のスプリントを助ける」という前待ち的な意図があったので、アベタカ選手もそれを理解してくれていた。

そんなわけで、僕はFTPの少し下くらいの、限界に入れない強度で走り続けた。マトリックスとしても、早い段階で吸収するのは、集団を平穏に保つために得策ではないので、泳がされるだけ泳がされる。

残り13周くらいで、

「どれくらいで吸収されたい?」

とアベタカ選手に聞かれた。

「10周切るくらいまでは。うまくいけば5周まで粘りたいですね。」

と答えた。

そこからアベタカ選手がペースを上げなおしてくれて、自分も気持ち強めに牽き、作戦としては出来過ぎなくらいの、残り4周で吸収された。

残り4周。集団が来てしまう。
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踏みなおして集団先頭にとどまり続ける!

逃げが吸収されると、主導権を握り続けたいマトリックス、奪い取りたいブリヂストンがバチバチやっている。

その後ろに岡本選手を確認。

「大前、いけるからな。よろしく頼む。」

と後ろから声をかけられた。こうなったら、灰になるまで踏んで先頭にとどまり続けるしかない。

イメージ通りの先頭奪取、想定外のトラブル

実は僕たちには、事前に思い描いていた「勝つためのカタチ」があった。

それは2017年の宇都宮ブリッツェンの勝ち方。

最終周のヘアピンを抜けてから、S字を抜けて右の直角コーナーまでの直線で先頭を奪取。そのままエースを引き連れてゴールまで駆け抜ける、というもの。

枚数はこの時のブリッツェンに比べて少ないが、右直角コーナーまでに僕が先頭に立てば、同じことができるかもしれなかった。

そしてその通り、予定の場所で先頭に躍り出たのだが、右直角コーナーで岡本選手にトラブル。

最後の直線に出てから後ろを確認すると、岡本選手がいないことに気づいた僕は、とにかく踏み抜いて、一つでも上の順位で僕がゴールしなければならない、と悟った。

結果、岡本選手ががっちりマークしていたスプリンターの3人に抜かれ、4位でゴール。

ノートラブルなら本当に勝率が高かっただけに、悔しい。

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悪かった点

特にない。作戦がはまり、逃げることができて、吸収されてからも集団先頭にとどまり続け、岡本選手をサポートできた。そのあとのトラブルに瞬時に対応して、脚を緩めることなく4位を最低限確保した判断も良かった。

全ては想定外のトラブルに集約される。

良かった点

積極的な走りを評価していただき、敢闘賞をいただいた。

翌日に向けて

調子が良いことが確認できたが、レース後に胃腸に負担がかかり夕方までベッドで寝込んでしまった。

背中の疲労もかなりあったが、気持ちで乗り切ろうと眠りについた。

以上!

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